株式会社トマックサポートセンター

医療的ケア児(者)の家族について

医療的ケア児(者)と家族を支える支援制度とは?在宅生活の課題・利用できる福祉サービス・相談先をわかりやすく解説

人工呼吸器の管理、胃ろうや腸ろうによる栄養注入、日常的な吸引や導尿など、日常生活を送る上で医療的なケアが欠かせない障害児(者)を「医療的ケア児(者)」と呼びます。

医療技術の進歩に伴い、病院から自宅へ移行して家族と共に暮らすケースが増える一方で、ご家族(特に保護者)へのケアの負担が非常に大きく、社会的な課題となっています。

「24時間体制のケアで睡眠不足になり、親が倒れそう」

「兄弟姉妹との時間がなかなか取れず悩んでいる」

「就職や復職、きょうだい児の育て方に不安がある」

このように一人で不安や孤立感を抱え込んでいるご家族は少なくありません。

この記事では、医療的ケア児(者)のご家族が直面しやすい課題や、ご家族の負担を軽減するために活用すべき公的サービス、2021年施行の「医療的ケア児当事者・家族支援法」による変化、相談窓口について詳しく解説します。

1. 医療的ケア児(者)のご家族が直面する主な課題

在宅での医療的ケアは、単なる子育てや介護の範囲を超え、医療行為を生活の中で安全に行い続ける緊張感が伴います。ご家族は以下のような課題を抱えがちです。

保護者の慢性的な睡眠不足と疲労

夜間の吸引やアラーム対応などにより、まとまった睡眠時間が確保できず、保護者自身の健康が脅かされるケースが多発しています。

就労の継続(離職)やキャリアの断念

保育所や学校、放課後等デイサービスでの受け入れ体制が整っていない場合、親がつきっきりで預かりや付き添いを行う必要があり、離職を余儀なくされることがあります。

きょうだい児(兄弟姉妹)への影響

医療的ケアが必要なお子さんに集中せざるを得ないため、きょうだい児との時間を十分に作れず、罪悪感や葛藤を抱える保護者が多くいます。

社会的な孤立感

外出のハードルが高く、医療的ケアに対する周囲の理解が得られにくいことから、家庭内で孤立してしまう傾向があります。

2. ご家族の負担を減らすために活用したい支援制度

ご家族が倒れてしまわないためには、外部の福祉サービスや医療サービスを積極的に取り入れ、ケアのバトンを社会へ渡すことが不可欠です。

訪問看護・訪問介護(ヘルパー)

看護師やヘルパーが自宅を訪問し、医療的ケアの実施や入浴・見守りなどのサポートを行います。保護者が自宅で休息を取ったり、別室で過ごしたりする時間を生み出すことができます。

短期入所(ショートステイ)および医療型ショートステイ

施設や病院に一時的に宿泊できるサービスです。保護者のリフレッシュ(レスパイト)、冠婚葬祭、病気や休養の際に利用できます。医療的ケア度が高い場合は「医療型」のショートステイ施設を活用します。

児童発達支援・放課後等デイサービス(医療型含む)

未就学児や小中高校生が日中に通う施設です。看護師が配置されている事業所では、預かり中に医療的ケアを受けながら、療育や集団での遊戯・学習を行うことができます。

日中一時支援・日帰りレスパイト事業

日中の数時間、施設で預かってもらったり、看護師が自宅で見守りを行ったりする事業です。自治体によっては独自の補助金制度を設けて拡充を進めています。

3. 「医療的ケア児支援法」で変わったこと

2021年に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」が施行されたことで、国や地方自治体の責務が明確になりました。

学校や保育所等での受け入れ体制の強化

看護師等の配置を進め、保護者の学校への付き添い負担を軽減する取り組みが全国で進められています。

「医療的ケア児支援センター」の設置

各都道府県にワンストップの相談窓口となる支援センターの設置が進み、医療、保健、福祉、教育、労働などの各分野が連携してご家族をサポートする体制が整備されつつあります。

保護者の離職防止・就労支援

医療的ケア児の健やかな成長だけでなく、「保護者の離職防止」や「離職した保護者の再就職支援」が法律の目的に明記されました。

4. 困ったときの相談先

一人で抱え込まず、早い段階で専門の窓口に相談することが大切です。

医療的ケア児支援センター

都道府県ごとに設置されている専門窓口です。医療的ケアに関する総合的な相談や、適切なサービス・機関への繋ぎを行ってくれます。

障害福祉窓口・相談支援事業所

お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、相談支援専門員が常駐する事業所です。福祉サービスを利用するための計画案(サービス等利用計画)の作成や調整を行ってくれます。

病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)

退院時や定期受診時に、在宅での生活不安や使える制度について相談に乗ってくれます。

医療的ケア児の家族会・当事者団体

同じ境遇のご家族同士で情報交換を行ったり、悩みを共有したりできる貴重なコミュニティです。

まとめ:家族だけで頑張りすぎない環境づくりを

医療的ケア児(者)を育てるご家族にとって、日々のケアを継続していくためには「頑張りすぎないこと」と「周囲の助けを頼ること」が何より重要です。

レスパイトサービスや訪問看護などの制度を活用することは、決して手抜きではなく、ご家族とお子さん双方が笑顔で生活を送るための大切なリスク管理です。

制度やサービスは年々拡充されてきています。まずは病院のソーシャルワーカーや地域の相談窓口に、ご自身の現在の疲れや困りごとをそのまま打ち明けてみてくださいね。

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