見えにくい障害(内部障害・高次脳機能障害など)とは?周囲の誤解を防ぎ自分らしく生きるための知識と支援
日常の生活や職場、学校で、このような生きづらさや悩みを抱えていませんか?
「見た目は元気そうに見えるため、辛さや体調不良を周囲に理解してもらえない」
「優先席に座ったり障害者用トイレを使ったりすると、厳しい視線を向けられる」
「怪我や病気の後から仕事の手際が悪くなり、怠けていると勘違いされてしまう」
身体障害や知的障害の中には、車椅子や白杖などの使用によって一目で分かる障害がある一方で、外見からは症状や不自由さが判別しにくい「見えにくい障害(見えない障害)」が存在します。
代表的なものとして、心臓や腎臓などの臓器に障害がある「内部障害」や、脳の損傷によって起きる「高次脳機能障害」、さらに発達障害や精神障害などが挙げられます。
見た目で判断されにくいからこそ、周囲からの偏見や誤解、孤立に悩む当事者やご家族は少なくありません。
この記事では、見えにくい障害の代表的な種類と症状、直面しやすい生きづらさ、利用できる公的支援や制度、自分らしく生活するための工夫を分かりやすく解説します。
「見えにくい障害」の代表的な種類と症状
外見からは分かりにくい障害には、さまざまなタイプが存在します。
内部障害
身体障害者福祉法で定められた、身体の内部器官の機能障害です。
・心臓機能障害:息切れや疲れやすさ、動悸などが起きやすく、重度の場合やペースメーカー装着者が該当します。
・腎臓機能障害:人工透析を定期的に受ける必要があり、水分制限や深刻な疲労感を伴います。
・呼吸器機能障害:在宅酸素療法(酸素ボンベの携帯)が必要な場合や、少しの歩行で激しい息切れが生じます。
・その他の内部障害:肝臓機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害、膀胱・直腸機能障害(オストメイト:人工肛門や人工膀胱を使用している方)など。
高次脳機能障害
事故や脳卒中(脳梗塞や脳出血)などにより、脳の一部が損傷を受けたことで言語や記憶、注意、情緒などの認知機能に障害が生じた状態です。
・記憶障害:新しいことを覚えられない、少し前の出来事を忘れてしまう。
・注意障害:集中力が続かない、二つのことを同時に行えない、ミスが増える。
・遂行機能障害:計画を立てて順序立てて行動することができない。
・社会的行動障害:感情のコントロールが難しくなり、急に怒ったり感情的になったりする。
発達障害・精神障害
・発達障害(ASD、ADHD、SLD):コミュニケーションの難しさ、不注意や衝動性、読み書き・計算の局所的な困難さなど。
・精神障害(うつ病、統合失調症、双極性障害など):気分や意欲の低下、パニック、幻覚・妄想など。
難病(指定難病・慢性疾患)
・難病(ALS、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病など):痛みの症状や体調の波が激しく、外見では元気に見えても日常生活に大きな制限がかかる場合があります。
当事者が直面しやすい周囲との壁(生きづらさ)
見えにくい障害を抱える方は、症状そのものの辛さに加えて、周囲からの理解が得られない精神的なストレスに直面します。
「怠けている」「わがまま」という偏見
外見が健康そうに見えるため、疲れやすさや作業の遅れに対して「本人の努力不足」「不真面目」と受け取られてしまうことがあります。
公共スペースでの肩身の狭さ
電車やバスの優先席を利用したり、障害者用多目的トイレ(オストメイト対応施設など)を使用する際に、周囲から不審な目で見られたり注意されたりすることがあります。
支援や配慮の申請の難しさ
目に見える障害と比べて、職場や学校で「どのような配慮が必要か」を伝えるのが難しく、適切な環境調整を受けにくい傾向があります。
利用できる公的支援と制度
見えにくい障害であっても、要件を満たせば公的支援や福祉サービスを受けることができます。
障害者手帳の取得
・身体障害者手帳(内部障害)
・精神障害者保健福祉手帳(高次脳機能障害、発達障害、精神障害など)
手帳を取得することで、税制上の優遇措置、公共交通機関の割引、障害者雇用枠での就労、福祉サービスの利用が可能になります。
ヘルプマークの活用
カバン等にヘルプマークを取り付けることで、周囲へ配慮が必要なことを無言で伝えることができます。裏面シールに症状や緊急連絡先を記入しておくと安心です。
障害年金
病気やケガによって生活や仕事に制限が出た場合、条件を満たせば障害基礎年金や障害厚生年金を受給することができます。内部障害や高次脳機能障害も受給対象に含まれます。
自立支援医療(精神通院医療)
高次脳機能障害や精神障害、発達障害などで継続的な通院治療が必要な場合、医療費の自己負担額を1割に軽減する制度です。
当事者・ご家族が快適に生活するための工夫
見えにくい障害と付き合いながら自分らしく過ごすためのポイントを紹介します。
自分の障害特性や困りごとを「見える化」する
メモ帳やスマホのメモ機能、障害理解シートなどを活用し、「自分の得意なこと・苦手なこと」「体調が悪くなったときの対処法」を文字にして整理しておきます。
ヘルプカードや配慮要求カードを携帯する
緊急時や困った時に周囲に見せられるよう、「記憶障害があります」「人工透析をしています」といった記載をしたカードを持ち歩きましょう。
専門機関や当事者会とつながる
・高次脳機能障害支援センター
・発達障害者支援センター
・地域の保健所や地域障害者職業センター
同じ悩みを持つ当事者やご家族が集まる当事者会に参加することで、情報交換や精神的な安心感を得られます。
まとめ:見えない困難に気づき、優しさを広げよう
見えにくい障害を抱える方々にとって、一番の支えとなるのは「目に見える症状だけがすべてではない」という周囲の正しい理解とちょっとした配慮です。
当事者の方は「周りに理解されない」と一人で抱え込まず、ヘルプマークなどのツールや公的制度、専門機関を積極的に頼ってください。
そして周囲の方も、見た目だけで判断せず、困っている様子が見られたら「何かお手伝いしましょうか」と声をかけ合える社会を作っていきたいですね。
