株式会社トマックサポートセンター

身体障害者の高齢化について

身体障害者の高齢化(老障介護)とは?現状と課題・利用できる制度・併用や移行の仕組みを分かりやすく解説

障害を持ちながら生活されている方が高齢期を迎える、あるいは高齢になってから身体障害を抱えるケースが増加しています。

「障害福祉サービスを利用してきたけれど、65歳になったら介護保険に切り替わるの?」

「高齢の親と障害のある子どもが互いを支え合う生活で、将来が不安」

「身体の衰えを感じてきたが、これまで使っていた障害福祉サービスは続けられるのだろうか」

このように、身体障害者の高齢化に伴う生活の変化や制度の壁について、不安や悩みを抱える当事者やご家族は少なくありません。

障害者の高齢化問題は、いわゆる「老障介護(ろうしょうかいご)」の深刻化や、65歳到達時の制度移行(65歳の壁)といった独自の課題を含んでいます。

この記事では、身体障害者の高齢化がもたらす現状と課題、障害福祉サービスと介護保険制度の違い、65歳以降の制度移行や併用の仕組み、共倒れを防ぐための対策と相談先を分かりやすく解説します。

1. 身体障害者の高齢化がもたらす現状と背景

現在、日本の障害者福祉において「障害者の高齢化」は非常に重要なテーマとなっています。

高齢化が進む背景

・医学の進歩や福祉サービスの充実により、身体障害のある方の平均寿命が大幅に伸びたこと

・高齢化に伴い、脳卒中や事故、加齢による病気などで新たに身体障害者手帳を取得する高齢者が増加していること

老障介護の深刻化

高齢の親(例えば80代)が、同じく高齢となった身体障害のある子ども(例えば50代・60代)を介護する状態を「老障介護」と呼びます。

お互いに加齢による体力低下や認知機能の低下が進むため、日常生活の負担が増大し、共倒れになるリスクが高まっています。

2. 身体障害者の高齢化で直面する主な課題

高齢期を迎えた身体障害者やそのご家族は、以下のような特有の課題に直面します。

障害の二次障害・加齢による身体機能の低下

長年の身体の使用や車椅子生活による関節障害、筋力低下、体力の衰えなど、加齢に伴い障害の症状が悪化したり新たな痛みが表れたりする「二次障害」が発生しやすくなります。

介護者(家族)の限界と孤立

長年ケアを担ってきた保護者や配偶者が高齢化・病気・他界することにより、自宅での生活維持が困難になるケースが増加しています。

制度移行に伴うトラブル(65歳の壁)

障害福祉サービスを利用してきた方が65歳になると、原則として「介護保険制度」が優先されるというルール(介護保険優先の原則)があります。これにより、これまで慣れ親しんだサービスや事業所が使えなくなるのではないかという不安が生じます。

3. 65歳到達時の「障害福祉」と「介護保険」の仕組み

障害福祉サービスを利用している方が65歳を迎える際、制度の適用方法や移行の流れを知っておくことが安心につながります。

介護保険優先の原則とは?

障害者総合支援法に基づき、65歳に達した身体障害者の方は、原則として介護保険サービス(デイサービスや訪問介護など)を優先して受けることになります。

サービスが併用・継続できる例外規定

介護保険が優先されるからといって、これまで受けていた障害福祉サービスがすべて打ち切られるわけではありません。以下のような場合は、障害福祉サービスの継続や併用が認められます。

・介護保険に相当するサービスがない場合:重度訪問介護、同行援護、行動援護、就労系サービスなどは介護保険に同等のサービスがないため、65歳以降も障害福祉サービスとしてそのまま利用できます。

・介護保険の支給量では不足する場合:介護保険の要介護度に応じた区分支給限度額だけでは必要な介護時間が不足する場合、不足分を障害福祉サービス(居宅介護など)で補う「上乗せ支給」が認められます。

・新設された「共生型サービス」の活用:介護保険事業所と障害福祉事業所が相互にサービスを提供しやすくする共生型サービスにより、慣れ親しんだ事業所を使い続けられる環境が整えられつつあります。

利用料の負担軽減策(高額障害福祉サービス等給付費)

65歳になって介護保険へ移行した際、障害福祉では無料(または低額)だった利用料が介護保険の1割負担によって増えてしまう問題を防ぐため、特定の条件を満たす場合は自己負担分が償還(払い戻し)される制度が用意されています。

4. 高齢の身体障害者とご家族を支える対策と相談先

身体障害者の高齢化による不安や共倒れを防ぐために、早期から取り組みたい対策を紹介します。

対策1:早期からの将来設計とケアプランの見直し

65歳を迎える前から、相談支援専門員やケアマネジャーと連携し、高齢期にどのようなサービス体制を作るかを計画しておきます。

対策2:介護保険と障害福祉の「横のつながり」を作る

地域包括支援センター(高齢者窓口)と基幹相談支援センター(障害者窓口)の双方が連携してサポートしてくれる体制を整えます。

対策3:ショートステイや施設入所の選択肢も視野に入れる

家族の限界が来る前に、定期的にショートステイを利用してレスパイト(息抜き)を図ったり、障害者支援施設や特別養護老人ホームへの入所検討を進めておきます。

頼れる主な相談窓口

・市区町村の障害福祉担当窓口 / 高齢者福祉担当窓口

・相談支援事業所(基幹相談支援センター)

・地域包括支援センター

・担当の相談支援専門員 / ケアマネジャー

まとめ:制度を上手に組み合わせ地域で安心の生活を

身体障害者の高齢化は、当事者やご家族の努力だけで解決できる問題ではありません。

65歳という年齢の節目や身体の変化に対して不安を感じたら、まずは相談支援専門員や地域包括支援センターなどの専門家に相談することが大切です。

障害福祉制度と介護保険制度の双方を上手に組み合わせ、利用できる支援や軽減制度をフル活用して、高齢期も自分らしく安心して過ごせる環境を作っていきましょう。

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